Interview

【リン・ロビンソン先生】 動く喜びをみなさんに感じてもらいたい



ボディ・コントロールピラティスを創設し、マタニティ・ピラティスやシニア向けに教えるためのトレーニングを展開しているリン・ロビンソン先生。“ピラティスの女王”と呼ばれ、母国イギリスではもちろん、世界でも著名なピラティス・インストラクターです。リン先生の専門分野はなに? ピラティスとの出会いは? ピラティスの魅力はどんなところ? 日々どんな暮らしをしていて、どんなことを大切にしているのでしょうか。スタイリッシュでチャーミングなリン先生に、15個の質問を聞いてみました。

1.ピラティスを始めたきっかけはなんでしたか?

意図したというより、全くの運命というか、ご縁でした。1992年に主人の仕事のためにオーストラリアのシドニーに移住しました。私はヨガのクラスを探してシドニーのブルーポイントロードセンターに行ったところ、時間を間違えており、やっていたのがピラティスのクラスだったのです。
その時は全くピラティスのことを知りませんでしたが、講師が優しく私を参加させてくれました。私はまったくクラスについていけないレベルでしたが、すぐにピラティスの効果を感じました。痛めていた腰の状態がよくなり、姿勢も元に戻って嬉しくなりました。
私はピラティスに夢中になり、ティーチャートレーニングを受ける決心をしました。そうすれば次にどこかへ引っ越したとしても、少なくとも私は自分自身を教えられると思ったのです。

2.現在の住まいの拠点はどこですか? その場所の魅力を教えてください。

私たちはイギリス、ケント州の古風な村にある1863年に建てられた、散歩できる広さのコテージに住んでいます。綺麗な庭があり、たくさんのバラやラベンダーに囲まれています。私は達人ではないですが、ガーデニングが大好きです。



私たちは鶏を飼い、羊や牛がいる野原を見渡すことができますが、簡単に電車でロンドンへ行くことができ、ロンドンのブルームズバリーにあるボディ・コントロール・ピラティスセンター(英国博物館の隣)に出勤することができます。私はこの二つの素晴らしい世界を行き来しているのです。
また、私の長女と3歳の孫が近くに住んでいるので、仕事をしていない時は彼女たちに毎日会うことができます。それに、末娘と新しい孫(まだ3ヶ月)は車で45分ほどのところに住んでいるため、最低週1回は会うようにしています。ですから、私はそれ以上離れたところには住みたくないです。時々、自分が3人欲しい!と思うことがあります。



3.シドニーでは学校に行っていたそうですね?

私は元々セカンダリースクール(11歳から18歳)で歴史を教える資格を持っていましたが、娘を産んでからは教えることを諦めていました。しかし、教えること(学ぶこと)は私の中に根付いていました。シドニーでは働けるビザではなかったため、働くことができませんでした。ですから、ピラティスを学ぶ傍ら、シドニー大学大学院の宗教哲学のコースをとりました。

4.ここ数年、世界でピラティスが最も盛んな都市はどこだと感じますか?

難しい質問ですね。マットワークが最も盛んなのはおそらくロンドン、そしてシドニーやメルボルンも同程度ではないかと思います。またちなみにこの3つの都市はピラティスの最も良いスタイルを持っていると思います。そこでのクラスは全ての年齢層や身体レベルの人たちを魅了しています。ピラティスのマシーンが盛んな都市は、依然としてニューヨークやロサンゼルスではないかと思います。

5.ピラティスのどういうところが魅力ですか?

どこから話しましょうか。まずは、ピラティスはあなたがどう見えるかではなく、どう感じるかについてであるという点です。私は学問として、身体についてはあまり触れてきませんでした。ピラティスが私自身につながり、また、私自身のマインドとボディをつなげてくれたのです。だから今私はピラティスを、将来の健康、そして幸福な生活への投資のように見ています。



6.ピラティスインストラクターになったきっかけはなんですか?

前の質問でもお答えしたように、私は意図せずピラティスにのめり込みました。私の主人は転勤が多かったので(合計8年間国外で過ごしました)最初はどこの地に住んでも自分自身を教えられるように、というつもりで学んでいました。
それから英国に戻ることになり、最初は地元のケント州で数クラス教えていました。すると、それがいつの間に週14クラスになり、長いキャンセル待ちが出るようになりました。
そこで初めて自分がもしかしたらこの分野で何か特別なものを持っているかもしれないと気が付いたのです。今はボディコントロールピラティス(BCP)が持つユニークなティーチングアプローチがそうさせていると思いますし、だからこそ成功できたのだと思っています。

7.ピラティスインストラクターを養成するときに、どんなことを大切にしていますか?

ロンドンセンターでは毎年約150人の講師を育て、さらに国外のセンターでもトレーニングを行っています。世界中で約400人以上の講師が現在活動しています。毎年最低1回はロンドンでトレーニングを教えます。
最も気にかけることは、講師及びトレーニングを受けている人たち全てが誠実であり、人々を助けたいと思う純粋な希望と学び続ける意志を持つことです。



8.ピラティスインストラクターを養成するなかで、喜びはどんなことですか?

前に述べたように、できる限り私がティーチャートレーニングをスタートさせるようにしています。自己紹介をしてもらい、まずどうしてピラティスを始めるようになったのかを語ってもらいます。生徒たちの話を聞くといつも感動します。
時には思いがけず不運に見舞われ、業況が変化したためにピラティスに出会った場合があります。たとえば怪我、病気、腰の問題によるものが最も一般的です。45歳の若さで脳卒中になった人もいました!失業したから、またはキャリアを変えたい理由から来た人たちもいました。
大半の生徒たちはピラティスによってとても助けられて、それを他の人たちにも共有したいという想いからでした。元サッカー選手、軍人、弁護士、銀行員らや、夫婦または親子で受けに来た人たちを教えました。
みんなそれぞれ異なったバックグラウンドを持っていますが、全員ボディ・コントロール・ピラティス(BCP)を愛しているのです。ピラティスがいかに人生を変えることができるのかを知れば知るほど謙虚な気持ちが募ります。
私は普段とても感情的になりやすいんです!生徒たちの人生の新しい始まりであることにとてもワクワクします。

9.ピラティスの中でもマタニティやシニア向けを専門としてきた理由は何ですか?他にも専門としている分野がありましたら教えてください。

まず自分の腰の問題が最初に起こり始めた妊娠期間中(35年前と37年前)に産前、産後に関して興味を持ち始めました。今知っている妊娠中にピラティスをする恩恵をその時に知っていたなら、腰椎ヘルニアにはならなかったと思います。
今は妊娠による、そして新しく母になる時の痛みは避けて通れないことを全ての母親に理解してもらいたいです。ピラティスはその助けになります。さらに出産を軽くする助けにもなるのです。
ピラティスは多くの女性の助けとなり、その講師たちは女性たちが自分の体、妊娠、出産に関して理解するのを助け、さらに子育てに対して対処することを助けるユニークな立場にいます。



スポーツジムで、あるいはクラシカルピラティスのクラスでさえ萎縮しがちな老年の人たちのために、思いやりを持った、効果的なエクササイズのプログラムがすぐにでも必要だったため、シニア世代に対する関心が高まりました。 
講師として私たちには老化による変化、病状、疾患を考慮しながらエクササイズを修正する能力が必要とされます。そのためには適切なスキルと正しい知識が必要です。イギリスは日本と同様に高齢化社会です。これからの人生を楽しむために元気でいられるように、適切なエクササイズをお年寄りに提供することが私たちの責任だと信じています。



私は今63歳ですが、孫を抱きかかえるたび、または一緒にトランポリンをするたびに、ピラティスをやっていて良かったと思います。
私はまたスポーツ選手、特にサッカー選手にピラティスを教えることも専門としています。 クリケットの国の代表チームやサッカーのプレミアリーグのチャンピオンであるチェルシーなどトップチームを教えてきました。こちらが計画したというよりは、依頼があったのがきっかけです。おかげさまで評判がよかったようで、その後、こういった依頼をたくさんいただくようになりました。

10.いままで師事した先生はどんな方ですか?

まず門をたたいたのは、シドニーのペニー・レテイのクラスです。ロンドンに戻って来てからは、ゴードン・トンプソンのトレーニングを受けました。私は最初の本を彼と一緒に執筆しました。
私はまだ週に2回クラスで教えていますが、私自身もさらに向上したいと学び続けています。カーメラ・トラッパ、サム・アームストロング、シェリル・リスに学んでいます。



11.感銘を受けた本はありますか?教えてください。

私は読書することに対してとても貪欲です。外出した時に何冊か本がないと不安になるくらいです。仕事に関係する本としては、ニコール・クロフト氏執筆の地に足がついた母親となるためのガイド本、The Good Birth Companionという本を読みました。
現実逃避のための本もいくつかあります。歴史の先生のようなジョージ. R. マーティン氏の素晴らしい語りのため、Game of Thronesに夢中です。孫たちに読んで聞かせるための好きな本は、ガイルス・アンドレアス氏のGiraffes Can’t Danceで、その話の中には素晴らしいメッセージが込められています。 “不可能なことはない!自分の夢を諦めないで”

12.好きな言葉はなんですか?

「まず、すべきことをする。それからやりたいことをやる」。

人生のバランスを保つために私はこの言葉をルールとして使っています。私の仕事、食事、ピラティス、孫の面倒を見ることにも言えることです。私は“やるべきことをする”という気持ちが強く、やりたいと思うことをやって楽しむ前にはやるべきことをまずしなければならないと思っています。
例えば、自分のためにピラティスを練習する時には好きなエクササイズを後回しにします。好きだからと言っても必ずしもそれが私のすべきものだと限らないからです!

13.いろんな国、地域で教えていると思いますが、どんなところで教えていますか?

クレイジーです!教えに飛び回ることを少し減らしたので、子どものいる娘たちを助けることができるようになりました。
今年は国外ツアーをカナダ、香港、日本、中国のみにしました。いつもならリトアニア、デンマーク、フランスなどのヨーロッパの国々、そして中東のカタールを訪れています。



14.ピラティスを通じてどんなことを伝えていきたいですか?

動くことの喜びです。人生を完全に生き、楽しむために、私もジョセフ・ピラティス氏のように人々に動くためのスキル、強さ、柔軟性を与えたいのです。でもそれ以上に、年齢や能力に関わらずピラティスがもたらす動く喜びをみなさんに感じてもらいたいと思っています。

15.これからやりたいことは何ですか?

バレエです。良いバレエダンサーになるには“大きすぎる”と若い時に言われたので、両親は私がバレエのクラスを受けることを止めました。私はとても傷つきました。
ピラティスが私にとっての‘踊る’ことなのかもしれない、と時々思います。いいバレエダンサーになるという妄想はありません。カーテンを閉めて、部屋を暗くしないとできないわ!と思います。ただ一つだけ分かることは、とにかく笑ってしまうだろうな、ということです。つまりキリンだって踊ることができるかもしれないんです!!!
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リン・ロビンソン先生が2019年5月に来日します。

マタニティピラティス・インストラクター養成コース
2019/5/16(木)~19(日) スタジオ・ヨギー福岡天神

2019/5/21(火)~24(金) スタジオ・ヨギーTOKYO
シニアピラティスインストラクター養成コース
2019/5/27(月)~29(水) スタジオ・ヨギーTOKYO

このほか、ワークショップ(継続教育)も予定しています。
<<来日情報ページでも随時お知らせいたします。

リン・ロビンソン Lynne Robinson
ボディコントロールピラティス講師。
1994年よりピラティス指導にあたる。安全で効果的、誰にでも気軽に出来るピラティスメソッドとして、Body Control Pilates(ボディコントロールピラティス)を設立。ブリティッシュ・エアウェイズの機内エクササイズを監修するほか、11冊の著書、8本のDVDを出版しイギリスのみならずオーストラリア、カナダのメディアにも出演するなど世界的に活躍している。2007年には世界のピラティス界で最も注目されるUSAフロリダで開催されるPMA(Pilates Method Alliance)カンファレンス、2008年Pilates Style Conference、Body Mind EXPOなど国際的なカンファレンスにプレゼンターとして招聘され、マタニティピラティスのパイオニアとしてワークショップを提供している。