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難しいインストラクションになっていませんか?


こんにちは。ピラティスインストラクターのカオリンです。

インストラクターという職につき、早いもので25年となりました。キッズ・ダンスの指導から始まり、エアロビクスやアクアビクスなどを経て、現在はピラティスの指導をしています。

インストラクターになりたての頃は、「がむしゃらに」という言葉がしっくりくるのでしょうか、とにかく必死でした。

お客様の言葉に時に落ち込み、時に喜び、自分自身の気持ちに振り回されながらも多くの経験を積み現在に至ります。

私たちインストラクターは、お客様に「技術と知識」を提供します。当たり前ですが、どちらも目に見えるものではなく体感してもらうもの。形がないものだけに、その伝え方はとても重要です。

初めてピラティスを受講するお客さんや、始めて間もない方からよく聞く声は、「きつかった」「大変だった」「難しかった」「できているのか分からない」などではないでしょうか。


このなかでも、「きつかった」「大変だった」「腹筋がちぎれそう」などの感想は誉め言葉!として受け取ってよいと思われます(笑) というのも、「きつかった」「大変だった」などの感想はしっかりと体を使えた証拠だからです。体を使い、体幹を鍛えるのがピラティス。普段運動していないならなおさらキツイでしょう。

ところが、「難しかった」「分からなかった」はどうでしょう? 1時間動いたその感想が「難しい」になる理由は?

私は、インストラクターの指導力不足だと思っているのです。言っていることがわからない、など、“難しい印象”を与えてしまったインストラクターの責任なのではないでしょうか?

もちろん受け取り方は様々あるでしょう。それでも、いろいろな表現、方法を使って「きちんと動く」ことを指示するのがインストラクターの役割です。

伝えようと思うあまり、“言い過ぎて”いないでしょうか? 多くの言葉を発することで情報を与えすぎて「考えないと動けない」状態を作り出してしまっているのではないでしょうか。

たとえば、「鼻から吸って口から吐いてね」と言われると、吸うときは鼻で、吐く時は口なのね?と考えて、エクササイズ中もそのことに気が取られてしまう方もいます。それを、「呼吸を止めないように動いてね」という表現にすれば、止めなかったらいいのね、となります。当然ながらこの方がシンプルで分かりやすいですよね。

ほかにも、「両手を天井に向けてあげましょう!この時肋骨が開いたり腰が反らないように腹部の力をしっかりと入れておきましょう」と言った場合、言葉が長いせいで、お客様の動きとテンポがずれたりしませんか。この場合、「お腹の力を入れたまま両手を天井に挙げましょう!」でまずは十分。

ピラティス氏は、エクササイズはカウントダウンするのではなくカウントアップすることで精度を高めましょう。という言葉を残しています。

つまり、あと10回!あと9回!とカウントダウンしながらエクササイズを行うのではなく、1回出来たら2回目へ。2回出来たら3回目へ・・・とカウントアップすることで集中する中で精度の高いエクササイズをしましょう!ということ。

伝え方も同じですね。たくさんの情報を最初に与えてしまい「難しいエクササイズ」にするより、ひとつずつシンプルに必要なことを伝えていく方がしっかりと体に意識が向くのかもしれませんね。

伝えることが私たちの仕事ですが、伝えすぎないことにも意識を向けて、さらに精度の高いインストラクションを目指したいと思います。

文 ピラティスインストラクター カオリン


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カオリン
ピラティスインストラクター
スタジオ・ヨギー、ヨギー・インスティテュートディレクター
怪我の治療・リハビリの為、ピラティスと出会い約15年。自分の身体や日々の生活に「ものすごくいい!!」と感じ、解剖学等、身体の構造から勉強しました。学ぶほど、奥が深く、難しいものではありますが、普段の生活に取り入れることでよりパワフルに、そしてより美しく変わっていけるものです。ピラティスで心も体も美しく・・・なにより、楽しく元気!!これが私のモットーです。