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私はこれを学んできました【ビューティ・ペルヴィスインストラクター ユウコさん】



vol.14

現在、インストラクターとして活躍する“先輩”のみなさんは、これまでどんな勉強をしてきたのでしょう。専門分野や強みの見つけ方、学びの深め方、これからのあなたの学びの道しるべとなりますように、【学びの履歴書】をご紹介します。

高齢化が進むフィットネスクラブで必要とされているのは、激しい運動よりも体へのケア

私は、25年程前から現在も、アクアビクス と水中でのウォーキングクラスを担当しています。新人だった頃の私を知っている生徒さんも数人いて、私のインストラクターとしての成長も見て下さっています。

ここ数年ではヨガやピラティスとは違い、お客様の高齢化が進んでいます。膝や腰に支障がある、内科的手術を受けた後という方も珍しくはありません。痩身や体力アップというよりは健康維持、リハビリを目的として参加されている方が多いですね。


それだけ心身を使って人生を歩まれて来た方々ですので激しい運動は敢えて卒業。アンティークな家具を扱うよう、身体も大切に扱い、ケアをするよう提案しています。高齢の方にとって自分自身の体をケアすることが家族の為にもなります。自分自身が介護が必要になった時、家族の協力が必須です。家族の負担を軽減する為にも、自立した身体を維持し続けることを提案しています。

2年前からビューティ・ペルヴィスを取り入れたクラスも始めています。 普段から水泳を楽しんでいる中高年の生徒さんに、ビューティ・ペルヴィスをプールサイドでお伝えすると、身体との向き合い方が変わった等の嬉しい声をいただくようになりました。

身体との向き合い方に疑問が湧いてヨガを学ぶ

エアロビクスのインストラクターを始めた頃はまだアクアビクスの認知や需要が少なかったのもあり、特に北海道(少なくとも私の周囲)ではエアロビクスのインストラクターがそのままプールサイドに立つというケースが多かったのです。


でも実際に指導に当たってみると、水の特性である浮力や水抵抗を利用した動きの表現、塩素が含まれた高い湿度 、滑るコンクリートの床など、スタジオクラスとは全く違う環境にケガでやめて行く仲間が沢山いました。

また、生徒さんにとっても、フィットネスでガンガン身体を動かしたり見栄えにこだわるだけが身体との向き合い方ではないはず、と感じていました。そこで人の身体、命、魂をどの様に捉えているのかを学びたいと、ヨガを学びました。

私が疑問に思っていた通り、「音楽に合わせる」「上手い下手」「見栄えや優劣」にこだわることばかりをしていると、依存心が高まるなど精神的影響があるというケースを学びショックを受けました。エアロやアクアの過度のキューイングによって、私は生徒さんに悪影響を与えているのかもしれないと悩みました。

体を酷使するアクア系インストラクターに光をくれた、kyo先生

健康のためのフィットネスプログラムが生徒さんにとってもインストラクターにとっても体にいいものかどうか、疑問を持ち始めていた頃、この問題を救ってくれたのが当時フィットネス全般を指導されていたkyo先生です。先生が講師をされるトレーニングコースには参加出来なかったのですが、フォーラムやレギュラークラスに参加させていただき "見て、質問して"学ばせていただきました。


kyo先生のキューイングはとてもシンプルで明確です。プログラミングもすばらしく、動作の繋がりがスムーズで、関節に負担なく流れるように動くことができました。kyo先生の動きはもちろん、受講されている生徒さんの反応を見ながら、動きにより作り出される水流や波を私も身体に受け学びました。生徒さん達のワクワク感が水を通して感じられ、「私もこんなワクワクな波を作りたい」と思いました。

激しかったり難しい動きだけに頼る内容とは違って、身体に良い響きを与えたという満足感のある指導法に、同じプールで一緒に受けていたご高齢の方も私と同じ目線で楽しまれていることに感動しました。

kyo先生もまた、「私でお役に立てるのなら、ドンドン吸収して北海道に持って帰ってね。アクア界もまだまだこれから、後に続く人達次第。」とおっしゃって下さり、その言葉を胸にいつも帰りの機内では疲れながらも翌日からのクラス展開を考え、充実感に満ちていました。

髪の毛を乾かす時間も無く飛行機に飛び乗ったことや当時は 携帯メールが始まった位の頃でしたから、今よりは 不便な事もありました。

当時の自分を懐かしく思うのと、そうまでしてでも東京に私の足を向けさせるkyo先生は やはり当時から凄かったですね。

腰痛をおして参加したビューティ・ペルヴィスで、即効性を実感

その後、kyo先生がビューティ・ペルヴィスを考案。ヨギーでのクラスが爆発的に指示されているということを聞き、私もビジターで参加させていただきました。

初めて参加したのは渋谷のスタジオ・ヨギーでした。 予約が取りづらい状況のなか、予約開始日を待って取り、航空券の手配しました。ところが そのクラスの2日前に腰を痛めてしまったのです。やっと取った予約がもったいないし、航空券のキャンセルはしたくない・ ・・ゆっくりだったら歩けるから、と荷物を極力減らして飛行機に乗りました。

発着の際は 両手で身体を浮かせて、振動が響かないようにしていました。そんな状態で何とか渋谷スタジオへたどり着きました。kyo先生には事情を伝え"出来る動きだけ"してくださいねと言われました 。私の様子を見て 隣の生徒さんがマットを敷いて下さりました。

ところが"出来る動きだけ"のはずだったのが、時間と共に腰が楽になり、マットを棚にしまえるようになったのです!!自分も驚きましたが、隣の生徒さんもビックリ。

kyo先生に伝えると「良かったねぇ」と涼しげな笑顔。筋膜ストレッチが良かったのか、調整運動が効いたのか、とにかくこのクラス(当時 75分)の中で腰痛が改善されたことは衝撃的でした。その瞬間にビューティ・ペルヴィスのファンになりました。

ペルヴィスは「○○したタイミングで・・」と本人が自身のリズムや間を崩さずに身体と向き合えるメソッド。自分のリズムのまま、先ずは不調(整えるべきところ)に気付く。身体の響きを受け止めるんですね。あとはソコをフラットな状態に戻してあげるだけ。

何をするにもスタートがあります。そのスタート地点(本来の自分)を整えるだけのシンプルなメソッド。場合によっては身体に障害があってもご本人が身体の響きを受け入れようとする限り効果が見出せるメソッドは、類まれかと思います。

ペルヴィスを学んで以来、私のアクアは音楽に合わせて動く楽しさも残しつつ音楽に合わせられなくても楽しめるよう作っています。体力が落ちるなどしても今日の自分が好きでいられたら明日の自分の変化(エイジングなど)も受け入れられますね。

ともに学ぶ仲間が、刺激になる

2009年六本木のスタジオ・ヨギーで開講したビューティ・ペルヴィス ベーシックコース(BBC)に参加しました。そのとき今も連絡を取り合う仲間に出会いました。初日のトレーニングを終え 札幌に帰宅した翌朝に、何気なく点けたテレビに見慣れた女性が。先生っ!!

この日から放送開始のキンチョーのCMにkyo先生が「どっちでも イイでしょ。」とクールに映っていました。朝からぶっ飛びましたぁ〜。

2010年 中目黒のスタジオ・ヨギーで開催されたビューティ・ペルヴィス プロフェッショナルコース(BPC)に参加しました。コチラでも 現在全国のヨギーで活躍している仲間に出会えました。 彼女達のヨギーでの活躍は嬉しくもあり刺激になりますね。

ペルヴィスの認定は結構難しく、その場のアクシデントの対応の仕方や言葉選びのセンスも求められます。試験は喉がカラカラになる位緊張しました。緊張するから自分でも思ってもいない事を口にしちゃったり (笑) 。4回目のチャレンジで試験に合格した時は力が抜けました。

その4回目の認定試験は 2011年3月13日 銀座のスタジオ・ヨギーでした。2日前の大震災で、交通機関が乱れていたのですが、私の場合は全くその影響が無く、羽田に着くことが出来ました。余震が続く中、私の受験に足を運んで下さった先輩や同期、kyo先生には感謝でした。 試験中もかなり揺れてミユキ先生がサッとドアを開けに行ったのは忘れられません。

b-i styleで行われる毎月の研修会で、同期はもちろん、ベテランの先輩達に会うという事はまだまだ互いに学ぼうとする志しの表れと思います。ビューティ・ペルヴィスの先生達って向上心そのもの。同じ空間に身を置くだけでもエネルギーチャージになります。

感謝の言葉を口にする大切さ

最近思うことは、「ありがとう」はちゃんと言葉にする、ということ 。 普段コンビニなどでレシートを受け取る時でも「ありがとう」は言う方なんですが、親やパートナーには照れなどがあり、言わなくても通じると思いそのままにしてしまうことがありますよね。

私は4年前に母を亡くしました。母との思い出は沢山あるのですが、あの時 彼女はどんな気持ちで私と接していたのかな、あの言葉の裏にはこんな思いがあったのかも、黙っててくれたけど本当は凄く心配していたんだろうなぁ私を信じて口を出さなかったんだな・・・など気付くことが沢山あります。

うるさいな、とその時は思えても、どれも私を思ってのことだったのだと、思い出すたびに「ありがとう」という気持ちが湧いてきます。

本人が期待していないであろう時でも感謝の気持ち「ありがとう」は届けたいですね。この一言が空間や互いの気持ち、その後の関係性もより優しくなるはずです。



偶然ですが、先日 浅草の某神社に1年間お世話になったお札を返しにバスに乗ったんです。

80歳程のご老人が「お姉さん、そのトランク僕が支えてあげるよ。ヒールだから転んじゃ大変だ。」と座りながら両手でトランクが動かないようにしてくれたんです。「縁結びのお願いに行くのかい?」
「縁結びだなんて年でもないですよ。違う神社に1年間見守ってくれたお札を返しにね。ちゃんと神様にお礼言いたいので。」
「お礼を言うのは大切だねぇ。今は結んでくれ、守ってくれ、ってお参りには行くけど結ばれても『ありがとう』の言葉すら思い出さないのがほどんどだよ。今日はお姉さんみたいな人に会ったから、お天道様に感謝だなっ。」
「あら、嬉しい事言って下さる!」
「女は頼る者ばかりを探してるより、1人でもヒール履いて堂々と歩いている方が粋でいいよ。」
・・などとお喋り。ありがとうは気持ちを込めて大切に使いたい言葉だと思いました。

資格者の有志で集まり、勉強会を開いています

先日、健康管理能力検定を受けて健康管理士一般指導員資格を取得しました。これは、私達の健康を維持、又は促進する為多義に渡って知識を求められる資格です。うつ病や癌などを中心にして病気について、環境問題、栄養学、食品の成分表示、介護について等、以前勉強したのに忘れていたこともあり、このタイミングに受けて良かったと思っています。

キッカケはフェイスブックで情報が流れて来たのを見て、ふと受けようと思ったことでした。結構、直感で動くタイプです。決める前に動き出し、動きながら決めるということもしばしばです。

ただ、この資格だけで何かしようとは思っていません。国が必要と定める知識を持っていることはこの国で人様の健康に関わる仕事をしている限り不要な資格ではないと考えています。現在、月1回資格者の有志で集まり、勉強会を開いていますが、様々な職種の方々がいらしてビックリしています。そのうちにこの勉強会でペルヴィスを紹介出来たらと思っています。

自然治癒力を引き出すオステオパシーに、ビューティ・ペルヴィスとの共通点を感じて

昨年から自身のケアに オステオパシー という施術を受けています。 未だ 日本では馴染みが無い施術らしいですが、アメリカでは医師しか出来ない施術です。

オステオパシーでは人間は本来、自己治癒力を持っていると考えています。病気や痛みなどの様々な症状は、自己治癒力の許容範囲を超えて引き起こされると考え、手技をほどこして人体の調和を取り戻す施術をおこなっています。

私がお世話になっている方波見(かたばみ)先生は3月まで 札幌市内の整形外科で理学療法士としてこの施術を行っていたのですが、4月から専門治療院をオープン。脳の疲れ具合、骨盤内の血流の滞り場所などを両手で感じ取り 改善してくれます。

私は頭の疲れや緊張が仙腸関節に響くらしく、それが腰痛になるようです。先生は、私の頭を両手で包み込んで下さることから施術が始まります。丁寧に身体の響きを探り、呼吸を見ながら体の調整をします。足先がビリビリする、呼吸が深くなっていく、片肘だけ暖かくなるなどの変化を感じながら眠ってしまう事もしばしばあります。

自分では感じていなかった脳ストレスの原因や程度も先生は探り、自力で中庸を保てるよう手助けして下さいます。施術後は「良くなった」というより「ココまで手伝って貰ったから暫く自分と向き合おう。ペルヴィスの全身調整も今迄以上に効果を得られそう。」自身の治癒力や可能性に心が向きます。中庸、治癒力、微調整、直感・・・ペルヴィスでも耳慣れた言葉が先生の説明にあるため、オステオパシーに共通する考え方があると感じています。

施術を受けながら質問していくうちに、先生が時々開いている勉強会の存在を知りました。<オステオパシー>は、解剖学や栄養学だけてはなく哲学などの学びも必要とするそうです。学びたい、知りたいという志しには応えるよう初級編、治療師養成など、参加者のニーズや能力に沿った講座も開かれているそうで、この夏から私も学び始めようと考えています。

自分の身体を大切にしている姿勢は示して行きたい

本来の私は人前に立ったり、リードしたり、是が非でも抜きに出ようとするタイプではないんです。ほんと言うと苦手なんです。



幼少期はお寺の出の祖父母と同居していたり、母が大きな料亭の娘だった事もあり小さい頃から 他人の靴を揃える事は当たり前にさせられていました。黙って他人の役に立つ、邪魔にならないって感覚の躾を受けていたのでしょうね。 三つ子の魂何とやら・・それが良くも悪くも私は家族から受け継ぎました。

この年になると、当時の大人達の気持ちが身体の内側から響いて来て「そうだったんだっ!?」と今更気づく事があります。私の中には先立った家族が生きているんだな、私の身体は私だけのものではないと責任感と共に嬉しさも込み上げます。

自分の身体を大切にしている姿勢・・それだけは示して行きたいですね。生徒さんが私を忘れても良いのですよ。私が伝えた幾つかのケアを生活の一部にして不調の無い毎日を送って頂けたら、私はそこで存在すると思いますから。

名前
ユウコ
職業
ビューティ・ペルヴィスインストラクター、公認b-i stylist、フィットネスインストラクター
学びの履歴書
1994年 AFAA認定フィットネスインストラクター資格取得
2000年 AEA認定アクアフィットネスインストラクター資格取得
2007年 日本ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ・ケントラ
2009年 ビューティ・ペルヴィス® ベーシックコース(BBC)修了
2010年 ビューティ・ペルヴィス® プロフェッショナルコース(BPC)修了
2011年 ビューティ ・ペルヴィス認定インストラクター資格取得
2014年 ビューティ ・ペルヴィス マタニティエキス パート資格取得
公認b-i stylist
2019年 健康管理能力検定1級
健康管理士一般指導員資格取得
長年に渡り、アクア系プログラムを中心にフィットネス業界に携わる。自身の体調不良により 身体と精神の結び付きに興味を持ち、ヨーガ哲学の基礎を学ぶ。同時期、ビューティ・ペルヴィスの存在を知りレッスンに参加。回数を重ねて参加するうち、心身共に安定することを実感し、トレーニングコースに進む。ビューティ・ペルヴィスの提案する全てが健やかな生活を望む現代人に添えるものと確信し、女性として、指導者としてレベルアップに努める。

年齢は"重ねる"もの・・・経験は身体に刻まれ、人は美しく豊かになるのです。生徒さんの身体が心地良く、より響きのあるものでいられるよう努めてまいります。