vol.10
現在、インストラクターとして活躍する“先輩”のみなさんは、これまでどんな勉強をしてきたのでしょう。専門分野や強みの見つけ方、学びの深め方、これからのあなたの学びの道しるべとなりますように、【学びの履歴書】をご紹介します。なりたい職業に就いたものの、なんとなく物足りなさを感じていた
社会人としてのはじまりは臨床検査技師でした。臨床検査技師は脳波や心電図を取ったり、患者さんの検体(血液など)から血液検査、病理学検査、生化学検査などを行い、どんな病気の可能性があるのかを調べる仕事です。技師の仕事を知ったのは中学生のときでした。身体のなかで何が起こっているのかを追究する、というのに興味をそそられ、また単純に白衣に憧れもありましたし、医療の現場にいることで、毎日新鮮な気持ちで仕事が出来るのでは、と思い臨床検査技師を目指すことにしました。
専修学校では3年間実習に明け暮れ、国家試験前には猛勉強して臨床検査技師の免許を取得し、卒業後は札幌市内の検査センターに就職しました。
細菌課に配属され、顕微鏡で寄生虫の有無を調べたり、細菌を増やすための土壌(培地)を作り、培養するのが私の仕事でした。
なりたい職業に就いたものの、なんとなく物足りなさがありました。
3年ほど技師として働いた後、当時好きだったアパレルブランドが札幌に出店するという話を聞き、面接を受けて販売員へ転職しました。臨床検査技師は目標としていた職業でしたが、もともと洋服が好きで、洋服のことを考えているほうが楽しくなってしまったんですね。いずれ自分でお店をやってみたいという思いもありました。
でも販売の仕事は体調を崩してやめることになり、同時にお店をやってみたいという気持ちもなくなりました。その後は目標を失ってしまって、すこし休養期間を経て某航空会社の予約センターで働くようになりました。
達成感や爽快感に満たされて、どんどんピラティスに夢中に
航空会社の予約センターでは、ひたすら電話を受けて、PCへの入力作業、というのが仕事でした。座りっぱなしで、ずっとPC画面を見ながらキーボードを打っているので、肩こりや腰痛もあり、何か運動をしたほうが良いなと考えるようになりました。
それに少しずつウエストやヒップなど体のラインも変わって来ている気がして、それを阻止したいという気持ちもありました。でもジムに通って筋トレをするというのは私にはしっくり来なくて...。
「そういえば、渡辺満里奈さんがやっているピラティスは、しなやかな身体をつくるエクササイズだって聞いた気がする。」
そこから近くのピラティススタジオを探して、通うようになりました。マットピラティスでした。
体験レッスンのとき、全然動けない自分に衝撃を受けました。腹筋がないので、ハンドレッドは100回なんて出来ないし、柔軟性がないからひねられない。猫背だから反ることも出来ない。
それでも、自分の身体に集中して、深い呼吸をしながら動くことが「こんなに気持ち良いんだ!!」と驚きました。
そのとき、まだ何も出来ないし何もわかっていないのに(笑)、この素晴らしいエクササイズを伝える側になりたい!インストラクターになろう!!と決めました。
スタジオには週1回しか通えなかったので、DVDとマットを購入して、自宅で毎日ピラティスをしていました。昨日出来なかったことが、今日はすこし出来ている!という実感があり、全然起き上がれなかったロールアップも、1カ月後には出来るようになりました。
達成感や爽快感に満たされて、どんどんピラティスに夢中になって、まるで恋しているみたいでした。
はじめて受けたトレーニングは、2006年札幌で開催されたFTPピラティスのプレ養成コースです。インストラクターになると決めた後、マシンピラティスの資格も取得することを視野に入れていました。
いくつかの流派のプレコースを受けてから東京のBASIピラティスで、マット資格の取得を経て、その後大坂のSTOTT PILATES®のライセンスセンターで、マットの資格も取り直し、最終的にマシンの資格もすべて取りました。
ピラティスで人生が変わったのと同じくらい影響を受けたトレーニング
2015年にyoggyで開催された【子宮から感情と身体の構造を整えるセルフヒーリング】が強烈に印象に残りました。
マタニティ&リカバリークラスを担当させて頂いているので、子宮のことを詳しく学んでみたら、もっと生徒さんのお役に立てるんじゃないかと考えて受講しました。
でも蓋を開けてみたら被害者意識や警戒心が強すぎる自分など、自らの問題点が次々と露呈して、講師のいずみ先生には私のトラウマを引き出されるし、4日間泣いて笑って過ごしました。
もちろん子宮がどこにあって重さはこれくらいで、生理のときはホルモンがこう働いていて...ということも学んだのですが、いずみ先生がご自身の歩んできたつらい過去や、子宮のことなのでセクシャルな内容にも触れたのですが、それをあまりにオープンに、おもしろおかしく話されるので、連日そのエネルギーに圧倒されていました。
最終日には、生徒さんのお役に立てるかも、と考えていた自分が(結局は自分の為なのに、生徒さんの為と考えているところが)傲慢であると気づいたんですね。
このトレーニングの中で、キネシオロジーとイングレイテッドヒーリング(IH)という潜在意識に繋がるヒーリングを知ったのですが、このことがピラティスで人生が変わったのと同じくらい、その後の私を大きく変えました。
ムダに高くなっていた自分のプライドや、傷つかないようにと纏っていた重くて透明な鎧に気づいて、でもそれを手放せたので、呼吸をするのも生きるのも、とてもラクになりました。
そして自分の置かれている環境がとても恵まれていることに心から感謝するようになりました。
10代のときにこのトレーニングを受けていたら
先述した【子宮から感情と身体の構造を整えるセルフヒーリング】をぜひすべての女性と、男性にも受講して欲しいです。
私は10代のときにこのトレーニングを受けていたら、自分の身体に愛情を持ち、労わりながら歳を重ねられたように思います。そして生理を、わずらわしくて痛いものではなく、喜びとして受け入れられたのではないかと感じています。
そして女性の身体で何が起きているのか、男性と女性の考え方がなぜ違うのかを男性にも知って欲しいです。
さらにもうすこし深いところでの癒しを、実践できるようになりたい。
ピラティスはもちろん、これからも学び続けます。身体の情報は日々更新されていますし、レッスンをしているとお客さまの身体に都度発見があって、教えて頂くことばかりです。
マットピラティスはマシンピラティスのようにサポートがあるわけではないので、代償運動*が出やすいのですが、クラスに参加して下さる生徒さんに目標としている筋肉をより実感してもらえるよう、声がけする言葉をもっとわかりやすく、伝わるように向上させていきたいです。
*代償運動:目的としている筋肉ではない筋肉が働いてしまうこと。
そして【子宮から感情と身体の構造を整えるセルフヒーリング】のトレーニング以降、想像よりもはるかに深く、言葉と感情が筋肉の働きに大きく関与していることを実感したので(まさに心と体は繋がっているんですね) 、体だけではなく、心のケアも学びたいと考え、2016年にキネシオロジーを学びにLAへ3週間行きました。
今年の11月にはサンディエゴでイングレイテッドヒーリングを学ぶ予定です。ピラティスで心も体も元気になります。それでももうすこし深いところでの癒しを、実践できるような自分になって行きたいです。
名前 | |
アサミ | |
職業 | |
ピラティスインストラクター | |
学びの履歴書 | |
2007年 | BASI MAT WORK |
2009年 | STOTT PILATES®認定 MAT WORK,LEVEL 1&2 |
2011年 | STOTT PILATES®認定 REFORMER,LEVEL 1 STOTT PILATES®認定 CADILLAC, LEVEL 1 STOTT PILATES®認定 CHAIR,LEVEL 1 STOTT PILATES®認定 BARREL LEVEL 1 |
2012年 | STOTT PILATES®認定 ISP(傷害と特殊条件) |
2013年 | ヨギー・インスティテュートBODY CONTROL PILATES®認定 Prenatal Pilates Teacher Training Course(産前のためのマタニティピラティス指導者) Postnatal Pilates Teacher Training Course(産後のためのリカバリーピラティス指導者) |
2014年 | STOTT PILATES®認定 FULL CERTIFICATION |
2016年 | DEEPゼミ受講 HSKキネシオロジー修了 |
2017年 | RM(レメディアルムーブメント)修了 |
「身体は変わる。そして、私もまだ変われる。」自分自身の経験と感動を伝える側になりたい、とインストラクターの道を選び、現在に至る。スタジオ・ヨギー札幌で「体幹コントロールピラティスI」を担当している。 生徒さん自身に気づきのあるクラスを提供していきたい。自分のカラダの強いところ、弱いところ、左右差のバランス、柔軟性のあるところ、ないところ…。正しく筋肉を使うことでカラダは変わり、それととともに心の在り方も変わる。自分のカラダと繋がり、愛情をかけて大事にして欲しいと思っています。ピラティスやヨガをすることで、自分のカラダの可能性が広がること(成長すること)、そしてそれはご自身の可能性を広げることでもあると気づいていただけたら、うれしいです。 |