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先生というのは、どんな分野においても大切な存在 2/2



6.アーサナの実践と哲学はどのように結びついていますか?

アーサナの練習は、いくつか重要な側面で哲学とつながりをもっています。 第一に、哲学はなぜ私たちが練習をするのか、という根本的な意図を理解させてくれます。それは現代において教えられているアーサナ練習が必ずしも提供してくれるものではありませんが。次に、哲学はアーサナを行う際に、どのようなことが内面で起こっているかを最も深いレベルで理解することを手助けしてくれます。そして最後に、哲学は究極的な「ハタヨガ」の目的と、そこにどう達したらよいかを理解する基礎になります。

7.ヨガ哲学を感じる、ヨガ以外の人物はいますか?

どなたでも、日々の活動にマインドフルネスを適応させている方は「ヨガ哲学」を生きていると私は考えています。私は禅が、茶道、華道、弓道などにそのマインドフルネスを適応させている方法がとても好きです。

結局のところ、私たちが「哲学」と呼んでいることは本当の意味での哲学ではないのです。哲学はアイディア(考え)ではなく、アウェアネス(意識)なのです。



8.現代のヨガにおいて、哲学はどのくらいを占めていると思われますか? アーサナがメインで哲学が薄れていると感じていますか?

私から見ると、現在世界中でいかにハタヨガが教えられているかからすると、確かに哲学に注がれる時間量は充分ではないように思います。

結果としてヨガが元々の意図とは明らかに変化した形態で教えられることがあります。例えば、ヨガがセルフアウェアネスという意味ではなく、フィットネスとして教えられていることです。

しかしながら、状況はゆっくりと変わってきています。ハタヨガ講師がより歴史や哲学を学ぶことで、それぞれのティーチングにさらに深みを持たしていることを見ると、個人的には方向性としては、明らかに哲学について語るか暗にティーチングに織り込むかの違いはあるとしても、哲学はより一層ヨガの教えに含まれて来ていると思います。

9.カルロス先生も日常的にアーサナをするのでしょうか?

私もアーサナの練習はしますが、厳密に毎日というようなペースではありません。

私の人生のこの時点では、私のアーサナ練習はとてもシンプルで効果的な12のアーサナシークエンスから成っています。これは40年以上前に初めてヨガをした時に習ったシークエンスです。私のメインの練習は瞑想で、それは毎日行っています。



10.ヨガ哲学の歴代有名人とその特徴を教えてください。もしくは、代表的なヨガ哲学書名とその位置づけや意義を教えてください。

もちろん一般的なインド哲学、特にヨガ哲学では何人かの鍵となる著名な教師がいます。昨今ではパタンジャリを大きく扱っていますが、具体的な実践という意味に於いて(知的な論文という意味だけでなく)は彼よりも重要な教師たちが存在しています。例えばシャンカラチャリヤとアビナヴァグプタの残した書物を、ヨガトラディションを真剣に学ぶ人には強くお勧めします。

また、カシュミア・シェイヴィズムの主となる教師たちを大変強くお勧めします。ウットパラデーヴァやクシェマラジャ、彼らは現代社会に於いて最も役に立つヨガの見解を教示するカシュミア・シェイヴィズムの大黒柱であり、信心深い一脈のラル・デッド(14世紀のカシュミアでの悟りを開いた女性の教師)もいます。他にもあまり知られていない人物、ジャイン・ティーチャーであるハリバードラ・シュリの書いたものは大変役に立ちます。

加えて匿名人物による本もあり、バガヴァッド・ギータは有名でヨガトラディションとその発展を理解する上で大いに重要です。



11.本から勉強するなら、まったくの初心者におすすめの本を教えてください。

ペンギンブックスから出版されているジェームズ・マリンソンとマーク・シングルトンによる“The Roots of Yoga”は幾つかのヨガの本からセレクションした新しく優れたアンソロジーをお勧めします。この本は、ヨガの歴史を簡潔かつ明解に、もっとも最近のリサーチを組み込み、且つ主だったヨガの出所について大変良い概要を紹介しています。

もう一つはエクイノックス出版社のピーター・コノリーの“A Student’s Guide to the History and Philosophy of Yoga”です。

12.ヨガにいろんな流派がありますが、どう捉えたらよいのでしょうか?

全てのヨガ流派は現代に関連づけられますが、それらをいかに現代に適応させる必要があるかを考えることが求められます。例えば、ほとんどのヨガ流派は男性によって男性のために作られました。しかし現代は今のところ、男性より女性の方がヨガをします。つまり、ハタヨガに於いては特に、多くの教えを女性にも適応できるように調整する必要があるのです。例えば身体について話すときなど、もともと記されていること以外に女性の身体についても触れる必要があるでしょう。

私はすべてのヨガ流派は、私たちが必要な適応さえできれば、何かしら現代に教えてくれることがあると信じています。

前編:ヨーガの学びに、先生は必要ないのではないですか?

来たる7/2~7/17、スタジオ・ヨギーOSAKA(梅田)、福岡、新宿WEST、名古屋にてカルロス・ポメダ先生によるワークショップを開催

2017年7月 カルロス・ポメダ先生来日 ヨガ哲学と瞑想 講義スケジュール

カルロス・ポメダ Carlos Pomeda
哲学講師
アメリカ在住。スペイン、マドリッド出身。U.Cバークレー校でのサンスクリット、U.Cサンタバーバラ校での宗教学の各修士号を取得。40年以上に渡り伝統的ヨガを学び、実践している。18年間サラスヴァティの慣例に沿い、僧侶名スワミ・ギータナンダとして過ごし、そのうち9年間はインドで伝統的な修行、実践を行う。この時期に様々なインド哲学の研鑽を積み、ヨガの修行に没頭した結果、上級僧侶となり、世界中から訪れる何万人もの生徒たちに瞑想や哲学を指導を行った。
現在、世界中で、ヨガの叡智(Wisdom of Yoga)やそれに関連する内容の様々なリトリート、コース、セミナー、ワークショップ、レクチャーを行なっている。
幅広い知識とその伝え方の明晰さで、受講生に人気の高いヨガ哲学講師である。伝統的なインドヨガに対する情熱、洞察力、ユーモアを持ち、受講生と深くつながることができ、明確で意味深く、現代に適応しやすい方法で、経典の最も深い教えを伝えることができる。