歌舞伎「マハーバーラタ戦記」を鑑賞した3人のヨガインストラクター、ヨガ講師でもある、ミヤビ先生、ケイコ先生、リー先生に、感想を寄せていただきました。3回目はリー先生。全身の感覚を振るわせて舞台を鑑賞したリー先生の興奮が伝わってくるようなリポートです。3人それぞれの物語の読み解き方をお楽しみください。
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神性と、愚かさが織り交ざり現す世界観 今でも目を閉じると、あの舞台の美しさが蘇ります。煌びやかでありながら、ディテールの強烈さを品まで高めた衣装に、インドと、日本の文化を織り交ぜた舞台。音楽は、インド的でも日本的でもないのに、神秘な世界を彩り、唯一無二の世界を現していました。初めて目にした歌舞伎役者の方の肉体の全神経から放たれる<気>と<肉体の表現美>、<言霊>に、私の大切にしているサンスクリット語が織り交ざり展開します。胸が熱くなりました。だって、創造の為の破壊神・シヴァ神の名が、歌舞伎座に響き渡り、創造のエネルギー・シャクティは、全てを打ち破る武器として伝えられて、マントラの神秘が物語りを深めます。私の五感、そして、第六感を大いに刺激する、とにかく大興奮の時間でした。 あぁ、思い出すだけでも心が時めきます。
ダンシング・シヴァの像
そして、マハーバーラタの原作とは、少し違いましたが、深く普遍的な真意をくみ取られての表現に感じました。心に刺さりました。マハーバーラタの叙事詩の魅力は、神性と、愚かさが織り交ざり現す世界観です。神の子ですら、人として生まれることで、揺れ動き、変化する心を持ち、移りゆく状況の、その切ない運命の中で、必死に愛を果たす生き方を観ます。また、その生き方に悪役ですら、心を打たれて、最期の時に、愛を抱いていて逝きます。愚かな人もまた、愛の化身であることを観ます。全てが、尊い愛の経験としての、切なく美しい叙事詩です。
マハーバーラタの世界は、私たちに、今を、どう生きるか? と、突きつけます。愛とは、愛の行為とは何か? 果たすべき役割とは、何か? 心の中で、感動の余韻と共に、心に響き続けています。
今ある世界の状況や、揺れ動くこころの自分に、様々な想いを喚起しながら、生きる力の高まりを味わった大切な経験でした。
この舞台に尽力なされた全ての方に、合掌です。マハーバーラタの叙事詩に合掌です。誘ってくれたお友達に合掌です。再演を切望します!
間違うこともあるだろうけど、愛に尽くして生きていきるぞ!
寄稿:リー / 編集:七戸綾子
リー プロフィール ヨガインストラクター。スタジオ・ヨギー ヨガディレクター。ヨギー・インスティテュート講師。ベーシック・トレーニングコース、メディテーション・インテンシブコース、メディテーション・ベーシックコース、呼吸法・ベーシックコースを担当している。スタイリストとしてCM、雑誌、TV等で活動後、内なる導きにてヨガと出逢う。国内、インド等での様々なトレーニングや、アシュラム生活を通じて、ハタヨガ、哲学、マントラ、サンスクリット語への造詣を深めている。また、神秘的なヨガを科学的に解明するため、東邦大学名誉教授・脳生理学者有田秀穂氏のもとで脳科学を学び、セロトニン活性トレーナー資格保持。更に、音楽療法としても注目されるクリスタルボウル(水晶と様々な鉱石か造られた楽器)のクリスタルボウル・アカデミージャパン公認奏者として、寺院等での奉納演奏も行う。 アプリ『寝たまんまヨガ 簡単瞑想』の「Inspiration」を考案。 著書に、『幸せとつながる言葉~インド・賢人の心の教え~』(青春出版社)がある。