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【キャット・マッカーシー先生】ヨガは、人生を個人的に受け止め過ぎず、新たな視点を与えてくれる 2/2



14.キャットさんの創設したNOLA YOGAはどんなスタジオですか?

 
NOLAとはルイジアナ州ニューオリンズの地元での呼び名です。ハリケーンカトリーナが私のホームタウンを破壊した時に帰郷しました。私は、ノラヨガを打ちのめされたコミュニティのアンカー(よりどころ)として創ったのです。 多くの地元のスタジオが再び立ち上がり、走り始めてから、私はノラヨガを移動型のヨガスクールに戻し、今度はヨガの教育、トレーニングをオファーすることでより広い南東エリアでの再建の手助けをすることができました。 この写真は、ノラヨガでの初めてのイマージョン/ティチャートレ―ニング生と。



15.アメリカ南部のヨガコミュニティを再建したそうですが、ニューオリンズを中心として複数の州にまたがるのでしょうか? どんなことをして再建していったのでしょう?


私は、ハリケーンカトリーナ後のニューオリンズの再建を担ったヨギーニたちの最初のグループの一人でした。私自身、ニューヨークで9.11のテロ事件を経験していましたから、ヨガがいかに癒しになり、そして再生の力になるかを知っていたのです。NYの再生と同じように、まずは地元の人のためにヨガをする機会(&スペース)を作ることで人々の心身の回復に努め、環境的な所はカルマとして補修などに携わりました。 この写真は、カトリーナハリケーン後に、最初のカルマクルーとして浸水したニューオリンズの学校のペンキ塗りを手伝っていたときの模様です。一番右側が私です。



あの嵐の前に、すでに私はニューオリンズのスタジオと関係があり、オーナーから地元のヨガコミュニティに貢献してほしいと頼まれていました。当時ルイジアナでは私が唯一のアヌサラ認定講師でもあったので、いわゆるゴルフコーストと言われる地域(テキサス、ルイジアナ、メシシッピ、アラバマ、フロリダにまたがるメキシコ国境のアメリカ南部ラインのこと)での活躍を求められていました。

私自身、ニューオリンズ家系の6代目の世代で、それからもわかるように多くの地元の人は遠くへは引っ越しません。ハリケーンカトリーナは、そういった起源をもつニューオリンズの人々にとって特別に困難な出来事でした。 私が当時教える時に大事にしたのは、そういった地元から引き抜かれるような気持ちになっている生徒さんを再度根付かせること、また家系に基づいた土地へのつながり以上に、自分自身の奥深くとつながるような感覚を見つけてもらえるようにしたことです。

 ビギナーのクラスシリーズでは自分の中の自信、そして外側にあるコミュニティにも自信を再構築する手助けになるように導き、イマージョンやトレーニングでは、それをさらに深め、力強くなっていくようなツール(方法)を提供しました。 それから地元のヨガコミュニティは再度成長を始め、花を咲かせ、次世代へ広げていけるような基盤ができたのです。

その後、メキシコ湾の原油流出大事故もあり、立ち直りには時間がかかりましたが、多くの助けを得て、再びコミュニティが活気づいてきた頃に、ようやく私はNYに戻ってくることができました。

 

16.なぜ、非暴力コミュニケーション“コンフリクト・トランスフォーメーション”(葛藤、確執、争いを変容させる)を支援するようになったのですか?


非暴力コミュニケーション(NVC)の活動はoff the matでのヨガの活動にとても役立つので、最近私が最も情熱を注いでいるものです。最初は、マーシャル・ローゼンバーグの情け深い生き方についての本を読んだことがきっかけで、これは「新しい言語」だと感じ、より力強く生きていくことにつながると思いました。

それは、’Nonviolent Communication’(邦訳『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』)という本で、マーシャル・ローゼンバーグ最初の著作でした。私が初めて読んだ彼の本で、その後の私の人生を変えたものです。彼の本はほとんどのメジャーな言語に翻訳され、「人間であることとはどういうことか」という人類に共通する基盤とつながることを考えさせてくれます。

 非暴力コミュニケーション(NVC)は闘争の絶えない国、仕事上の問題、家庭での関係性などを持つ世界中の国で実践されています。 NVCは、私自身や他者に対して新たな視点をもって理解することを教えてくれました。アーサナと同様に、NVCは共感する力を養うのに有効で、それには持続的な努力と強さが必要ですが、問題が起きてもそれを内側と外側をつなぐチャンスに変えることができるようになるのです。



17.日本がお好きと聞きました。来日は何度かありますか? 日本のどんなところが好きですか?


私は過去に2回、それぞれ3週間桜の時期と紅葉の時期に滞在したことがあります。食べ物から陶器、お寺や自然が持つ知恵などすべてにおける日本文化のワビサビ的なプレゼンテーションが大好きになりました。 京都、広島、東京、福岡、それから高野山や周辺の小さな街で多くの時間を過ごしました。今秋の来日で、またあの素晴らしい紅葉を愛でられるといいな、と思っています。地元の方々の暮らしに触れると共に、朝の市場で新鮮な刺身をいただく機会があれば嬉しいです!

18.1日をどんなふうに過ごしていますか? 朝起きておこなうルーティーンはありますか?


朝はゆっくりスタートさせるのが好きで、起きてすぐ飛び出すのではなく、瞑想やアーサナを行い、そしてコーヒーを飲みます。私は通常、午後から夜と週末に教えていることが多いので、それ以外の時間は自分が何を提供できるかを考える時間にしています。 そんなに早起きタイプではないですが、新しい文化を持つ街に行くと、なるべく地元の方の暮らしに触れたいので、観光客としてというより旅人として、自分の時間を有効に使うようにしています。



19.いまも旅が多いですか? いろんな国やエリアにヨガを教えに行っていますか?


 はい、今でも仕事(ヨガでもNVCでも映画でも)でよく旅をしています。米国内の各地、そして国外でもトレーニングやワークショップを教えています。ヨガとNVCは特に国外からの招待も多くなってきたので、今後より一層そういった生活になっていくのではないかと思っています。幸運にも私は米国と英国の両方の市民権を持っているので、ヨーロッパのツアーはやりやすいという利点があります。

 20.OFFではどんなことをして過ごすのが好きですか?

オフの日は、かなり自発的(活動的)に過ごします。太陽の光がエネルギーをくれるので、必ず外には出ます。ヨガクラスはもちろん哲学フォーラムに参加したり、街中を自転車で走り回ったり、ビーチを歩き、歌い踊り、友人や家族と食事をしたり・・・という感じです。 新しい文化、食、言語を経験するのが大好きです。ニューヨークはアート/音楽/映画/演劇など多くのイベントが開催されているので、いままで経験したことがないものに触れることで、自分自身の中にある境界線を広げていくことができるのです。

インタビュー前編:私のミッションは、教育すること、そしてエンターテインする(楽しませる)こと


キャット先生ら来日講師のワークショップ、トレーニング情報など

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キャット・マッカーシー Cat McCarthy ニューヨーク大学の大学院映画科にいる間に大学院生助手として働きながら、フルタイムで映画を製作。激務のなか、元気を取り戻すためにヨガに関心を持ち、1993年よりヨガをスタート。2002年よりヨガ指導者として活動。クリパルヨガ、アヌサラヨガ、バーンズメソッドの産前ヨガ“Yoga for TWO”のトレーニングを修了。2007年に自身のヨガスタジオNOLA YOGAを創設し、全米アライアンス認定校としてティーチャートレーニング、イマージョン、メンタープログラムを実施。アメリカ南部のヨガコミュニティ作りにも貢献。また、非暴力コミュニケーション“コンフリクト・トランスフォーメーション”(葛藤、確執、争いを変容させる)を支援し、“ヨガのコンシャス・コミュニケーション:確執を繋がりへと変える“というワークショップを開催している。現在、非暴力コミュニケーションとアーサナを繋げることと、日常の癖を理解すること、思い込みを解釈すること、身体的、精神的、感情的なパターンを再構築させることに情熱を傾けている。クリシュナ・ダスのアルバム『インヴォケーション』『オール・ワン』で彼女の歌声を聞くことができる。モットーは“ノリを楽しんで!(enjoy the ride!)”